永遠のテーマとされている“不老不死”。しかし、歴史上の人物のなかに人工生命および不老長寿の秘薬を作り上げた男がいた。
彼の名は「パラケルスス」。
錬金術師でもあり医科学者でもある彼は、“人工生命の創造主”と呼ばれるようになり後世にもその名を残している。
そこで今回は錬金術と医科学を用いた天才「パラケルスス」に迫る。
偉大な医科学者だったパラケルスス
パラケルススの名が世に広まったのは、ちょうどルネサンス初期だった。
彼は自身の医科学をもって人工生命「ホムンクルス」を創造しただけでなく、不老長寿の秘薬を合成することに成功したのである。
彼は偉大な医科学者であるとともに、稀代の錬金術師、そして天才オカルティストとしても知られており、様々な意味合いで人々から知られるようになった。
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ちなみに「パラケルスス」は通り名で、本名はテオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム(1494年~1541年)。スイス出身であるが、生年には諸説があるようだ。
医科学の道を志し歩んだ青年時代のパラケルススは、自尊心がとても高いことで知られていた。それが影響してか、アカデミズムや当時の医科学界を引率していたガレノスを嫌い、「古代ローマ時代の名医ケルススを凌ぐ」という意を込めて、「パラケルスス」を自称する。
その後、アカデミズムに反逆的な態度をとっていたことから追放され、放浪の身となったが、それは自由を手にするキッカケだったのかもしれない。
西ヨーロッパから中東まで遍歴し、各地で新鮮な情報や知るべき情報を集め、医学者、そして錬金術師としての能力を高めていった。
そして、ついにパラケルススは人工生命「ホムンクルス」を創造するのである。
医科学と錬金術を融合した天才「パラケルスス」
医科学と錬金術を融合させた天才「パラケルスス」最大の偉業は、何を隠そう人工生命「ホムンクルス」と言っても過言ではないだろう。
ちなみに「ホムンクルス」の処方は、男性の精液をレトルトで密封し、生きた馬の子宮の中でおよそ40週間育てると、ヒトから生まれた子供より少し小さなホムンクルスが生まれるとのこと。
なお、パラケルススは自身の精液を使い、ホムンクルスを生み出すことに成功したのだという。
医科学者としての彼の偉業は以上である。
では、錬金術師としてのパラケルススが残した偉業はなんだろうか。
彼の錬金術師における思想のルーツには、父から教授された自然主義があった。が、それが彼の思想のすべてにはならず、抜群の秀才による膨大な知識が核となっているに違いない。
パラケルススは新プラトン主義の「四大元素」を系譜にし、世界で生じているすべての現象を細かく分けると、根源的な三元素「硫黄」「水銀」「塩」によって生じると考えていたのである。
この理論によれば、銅や鉛も三元素のバランスを変えることで金や銀にすることも可能なのだという。そして、パラケルススはその触媒となる万能の物質「賢者の石」を所持したいたそうだ。
このように完璧なまでの錬金術を得た彼だったが、その伝説は1541年で終わりを告げた。
彼は同年、ザルツブルクで謎の死を遂げている。
彼が残した偉業の数々(ギャラリー)
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