1992年11月23日、日本の暮らすひとりの男性が自作のゴンドラ風船に乗って、アメリカへと旅立っていった。
まさに実話「カールおじさん」といったところだろうか、ここ日本では“風船おじさん”と呼ばれ、現在もなおその後が注目されている。が、あれから数十年経過したものの、風船おじさんの行方は未だ不明のまま。
風船おじさんはアメリカへと旅立つ前、「行けるところまで行ってきます」そう言い残しているが、はたして彼はその後どうなってしまったのだろうか。
本記事ではその後や消息不明などの理由が今もなお注目される「風船おじさん」についてまとめた。
日本の夢を抱いてアメリカに飛び立った「風船おじさん」とは
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自作のゴンドラ風船に乗り、アメリカへ飛びだった男性。
彼の名は鈴木嘉和(すずきよしかず)。普段、ピアノの調律師だった鈴木さん(以降、風船おじさん)は同ゴンドラ風船を「ファンタジー号」と名づけ、日本国民の夢と希望を抱いてアメリカへと飛びだったのである。
画像:風船おじさんこと鈴木嘉和さん
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1992年11月23日、風船おじさんは滋賀県の琵琶湖湖畔からサイズが異なる26個の風船をヒノキの風呂桶にくくりつけ、「アメリカに行ってきます」と言い残し、空へ舞い上がっていった。
まさに「カールおじさん」の実話とも言える風船おじさんであるが、この挑戦は実に無謀だった。
風船おじさんのゴンドラ風船でのアメリカ到達計画は、ヘリウムガスを詰めた風船に乗って、高度1万メートルに上昇すれば約40時間でサンフランシスコに行ける、というもの。が、残念なことに風船おじさんが自作したゴンドラ風船はそれを達成できる機能もなければ、耐久性すらなかったのである。
なお、当日飛び立つゴンドラ風船を見ていた地元のタクシー運転手は次のように語っている。
「風船は重りを積みすぎていたのか、あまりに高く上がらなかったね。風船もパンパンではなくちょっとたるんだ感じになっていたから、アメリカはちょっとなあ・・・って」
出発から40時間後の25日午前、彼は目標としていたアメリカではなく宮城県金華山沖800キロ、高度2500メートル地点を漂っていた。そう、スタート地点から1400キロ程度しか飛行していなかったのである。
その後、海上保安庁の捜索機が風船おじさんの生存を確認したものの、それが最後の生存確認となってしまった。
もしかして日本に?彼は現在どこにいるのか!?
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識者の見解によれば、風船おじさんのゴンドラ風船は「捜索機の最後の確認から早くて3日、最長でも1週間で高度はゼロになっただろう」とのこと。
風船おじさんが25日にいた北緯約40度、東経153度地点、そこを吹いた風の向き、台風の位置、気圧、その他ありとあらゆる条件を考慮すると、彼は目指す東の方角からやや北に流されはじめ、千島列島と平行するように飛ばされた可能性が高いようだ。
仮にその可能性でゴンドラ風船のたどり着く場所を予想した場合、ロシアのカムチャッカ半島界隈ということになる。が、その後付近でゴンドラ風船は発見されていない。しかし、風船おじさんが着水したことはほぼ間違いないと予想されている。
海洋学の専門家によると、「この地点(カムチャッカ半島界隈)で着水すれば親潮にのって東北の三陸海岸、場合によっては千葉の九十九里海岸まで戻される可能性がある」とのこと。
そう、あくまで可能性の話になるが、風船おじさんは空ではなく海という形で日本に帰っているかもしれないのだ。
しかし、その後も風船おじさんとゴンドラ風船「ファンタジー号」が発見されることはなかった。が、ロシアで確かな捜索が行われているわけではないと予想されるので、カムチャッカ半島界隈をくまなく探せば、何らかの手がかりが掴めるかもしれない。
消息不明となった風船おじさんのその後を考察してみた
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ネット上では風船おじさんのその後を検索するユーザーが多く、今となってもこの事件は注目されている。海上保安庁の最終確認からその後、風船おじさんはどうなってしまったのだろうか?それを私なりに考察してみた。
その後♯1「破裂もしくは墜落」
塩化ビニール製の風船は気温が低下すると外気圧が高くなるにつれて膨張する。結果、最後は破裂もしくは墜落という可能性が考えられる。
その後♯2「氷結もしくは凍死」
高度が予定の5000メートル以上を超えたと予想した場合、夜の気温はマイナス30度近くになる。結果、最後は風船ともども凍ってしまう可能性が高い。
その後♯3「着水もしくは漂流」
ヘリウムガスは1日におよそ10%ずつ抜けていくため、次第に高度は下がっていく。計算上、約1週間で着水するため、その後は漂流した可能性もある。
その後♯4「酸欠もしくは窒息」
高度が上昇するにつれて酸素濃度は薄くなる。よって呼吸困難になる可能性が高い。当時、風船おじさんは酸素ボンベを8本積んでいたようだが、それで足りたのか疑問である。
その後♯5「高山病」
風船は気温の変化によって夜は高度を下げ、昼は高度を上げる。この急激な高度変化が繰り返されることで、風船おじさんが高山病を発症した可能性も考えられる。
その後♯6「爆発もしくは炎上」
風船に入ったヘリウムガスになんらかの原因で引火した場合、最後は爆発もしくは炎上を迎える。
ayさんのコメントにもあるようにヘリウムは着火しない。水素ガスなら爆発も考えられるが、まさか風船に水素ガスを入れているとは到底考えにくい・・・。よってこの「爆発もしくは炎上」については論外になる。
あくまで以上は個人的な考察でしかない。
消息不明となった風船おじさんはその後どうなったのだろうか。
風船おじさんにロマンを抱くのであれば、決して悲惨なその後を想像したくはない・・・。
ヘリウムに火は着かないのでは…
大分、昔に読んだ海上保安官の人が書いた本に
おじさんぽい人の死体を回収したとありました。
20年位前なので本の名前は忘れました。
日本からあまり離れた所で拾ったようではないみたいです。